安心して生活する前にFOR A SAFE AND SECURE LIFE

事故発生場所は「居間」、「台所」が多いが、「階段」も多い
事故発生場所が明らかなもののなかでは、「居間」が 36%と最も多く、次いで「台所」が23%、以下、「階段」13%、「浴槽・風呂場」8%と続き、これらで全体の80%を占める。これを外国(1 例として、イギリス家庭内事故調査システム=HASS)(*1)の情報と比べると、わが国では「台所」、「浴室」の割合が高いのに対し、イギリスでは「庭」の割合が高く(HASS では17%、危害情報システムでは 7%)、住宅の構造や生活習慣の違いがうかがえる。なお、階段はほとんど差がない。*1:HASS(Home Accident Surveillance System)は、イギリス貿易産業省消費者安全部が行っている1976年に開始された家庭内における事故情報収集・調査システムである。今回、比較した1996年の報告書は、1996年1月から12月までの18病院からのデータをまとめたものである。
家庭内の不慮の事故死では「誤えんによる窒息」、「溺死・溺水」が多いが、階段等からの「転倒・転落」も多い
家庭における不慮の事故死のなかでは、「誤えんによる窒息」が 32%、「溺死・溺水」が 28%を占めて多いが、階段等からの「転倒・転落」によるものも多い(20%)
家庭内事故の防止に向けて
以上みてきたように、家庭内事故は、乳幼児や高齢者に多く発生しているのが最大の特徴である。 しかも乳幼児や高齢者の家庭における死亡事故は、社会問題化している交通事故死より多いことにまず注意する必要がある。
家庭内で事故の起きている場所は、「居間」「台所」が多いが、「階段」「浴槽・風呂場」も多い。家庭内事故のうち、「階段」「浴槽・風呂場」などの住宅関連事故は3割を占め、その他の商品と比べけがの程度が重いものが多く、高齢者の事故の割合が高いことがその特徴としてあげられる。家庭内で思わぬ事故にあうのは、家の中は安全なはずという思い込みと、自分の家のことは長年暮らしているので何もかも熟知している、したがって、まさか事故に遭うなどとは夢にも考えていないからではないか。その結果、安全に対する配慮をおろそかにしている、ことなどもその背景として考えられる。しかし、日常の生活の場で事故は起きている。
一般の家庭、特に乳幼児や高齢者のいる家庭では、まずはこのような家庭内事故の実態を認識し、日ごろから事故にあわないよう配慮してほしい。
今後、社会の少子・高齢化が進む中、このような事故の未然防止対策を考えることはきわめて重要である。関係者の事故防止に向けた対策を望むものであるが、当センターにおいては、この1999年3月に完成した「家庭内事故解析棟」を有効に活用し、その問題解決に向けての方策を検討することとしている。
危害情報システムにみる住宅関連事故
階段、浴槽・風呂場、床・畳などの家屋内設備(住宅構成材)による事故は、家庭内事故の3割を占め、けがの程度も重いものが多いことなどから、それらを特に「住宅関連事故」としてまとめた。

(1) 階段の事故
①階段の事故は、3,013件で家庭内事故の中で最も多く、家庭内事故の11%を占め、住宅関連事故 の35%に及ぶ。また、家庭内事故の中で0歳(第3位)、30~49歳(第2位)以外のすべての年 齢で第1位にランクされ、ほとんどの年代で飛び抜けて多い。
②けがでは「擦過傷・挫傷・打撲傷」が多いが、「骨折」、「脱臼・捻挫」のほか、「筋・腱・血管の 損傷」、「頭蓋内損傷」、「神経・脊髄の損傷」なども多く、後遺症の起きやすいけがが多い。け がの程度は、全体に「軽症」が多い中で「死亡」もみられる。(家庭内事故の「死亡」の18%を 占め浴槽に次いで多い)。
③0~4歳の乳幼児では身体に比較して大きい「頭部」など首から上のけがが多く、65歳以上の 高齢者では、「大腿・下腿」、「胸部」、「腰部・臀部」の割合が高くなる。
④事故に至るパターン等 「転落」(71%)や「転倒」23%)とほとんどが転落・転倒によって事故に至っている。階段の上り下りのどちらで事故が起きたかをみると、それが明らかなものの中では、下りる時の事故が上る時の4倍を超える。

主な事例)
・自宅の階段にワックスをかけた直後、階段を上っていて滑って、目と眉毛の間を打った。(5歳 男児)
・掃除機を持って2階に上がろうとして、階段の上から3段目ぐらいから掃除機を持ったまま落ちた。靴下が滑りやすいものだったと思う。(30歳 女性)
・2階で寝るため、階段の手すりにつかまって自宅の階段を上っていたらもう1段で最上階というところで手すりが折れて階段から転落、落差は約3メートルあり、腰を打った。(81歳 男性)
・2 階で子どもが乗り物の玩具に乗っていたが、玄関の呼び鈴に反応して部屋から出て、乗り物ごと階段を転落し、おでこ
・鼻の下・右目横を打撲した。(1歳 男児)
・暗いのに電気をつけずに踏むところが狭い階段を両手に洗濯物を持って下りるとき、6段くら い滑って落ちた。足首や親指の付け根やひじが擦り傷となり、小指と背中を打撲した。(43歳 女性)

[独立行政法人 国民生活センター online: http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-19990604_3.pdf]
滑る、つまずく、高齢者の骨折事故<抜粋>
消費者被害注意情報(危害情報システムから)No5

 全国20の危害情報協力病院から「危害情報システム」に寄せられた事故情報(病院情報)のうち、65歳以上の高齢者に特徴的な疾病は「骨折」である。高齢者の骨折は、疾病が骨折に止まらず、行動の不自由さがもっと大きな事故を生んだり、寝たきり状態へのきっかけになることも多いという点で、もっとも避けなければならない事故の一つといえる。

 9月15日は、敬老の日である。体力の衰えや健康への不安が増し続ける高齢者が、少しでも安全で快適な暮らしを続けるために、高齢者の骨折事故を分析し、注意を呼びかけることとした。
事故の概要
1992年8月~96年7月の4年間に収集した病院情報33,834件のうち、骨折事故は10.8% (3,638件)であるが、これを65歳以上の事故3,734 件に限ってみると20.9% (780件)
と約2倍になる。骨折は、高齢者に特徴的なけがといえる。事故は例年同程度起きており、増加または減少するといった傾向はみられない。高齢者の骨折事故780 件の概要は以下のとおり。


骨折事故は、女性に多い
 男性31.4% 、女性68.6% の割合で発生している。高齢者の場合、64歳以下の骨折の男女割合と比べて、女性の割合が29.1ポイントも高くなる。
 また、年代別に骨折事故の発生割合をみると、高齢になるほど高くなる傾向にある。


脚、胸、腕で、3分の2を占める  骨折は身体のほとんどの部位に発生している。なかでは、大腿・下腿が24.4%で最も多く、以下、胸部23.6% 、上腕・肩・前腕17.6%
と続き、この3部位で3分の2を占める。

重傷になるのは、脚の骨折
 高齢者の骨折事故全体では死亡・重症・中等症(以下、重傷)は51.8% であるが、大腿・下腿の骨折はこれが89.5% と非常に高くなる。重傷の割合が、高齢者の骨折事故全体における割合を上回っているのは、大腿・下腿の骨折だけである。
(注) 危害情報では程度をつぎのように分けている。
  軽症:入院を要さない状態。        
    中等症:生命に危険はないが入院を要する状態。
  重症:生命に危険が及ぶ可能性が高い状態。
 

階段での骨折が最も多く、以下、道路、床が多い
 780件中、階段での骨折が121件(15.5% )
、道路での骨折が89件(11.4%)、建物内の床での骨折が75件(9.6%)である。以下、自転車、風呂場、いすと続き、10位の自動車までで約7割を占める。
 780件中、家庭内で起きたことが分かっている事故は409件(家庭の内か外かが分かっている事故の57.3%)である。


重傷事故は、階段、床、ベッドなどでの骨折が多い
 重傷の割合が、高齢者の骨折事故全体における割合を上回るのは、階段の57.0%、床の54.7% 、ベッドの54.5% 、風呂場の53.5% である。
 家庭内で起きた事故も、家庭の外で起きた事故も、重傷の割合はほとんど違いがなかった。

原因は、圧倒的に「転倒」が多い
 骨折事故のきっかけは、「転倒」「転落」「ぶつかる」「挟む」などがあるが、年代別にみると高齢になるほど「転倒」が増え、70代で61.7% 、80代で73.2% になり、90代では95.7% とほとんどが転倒による骨折になる。
骨折事故は、女性に多い
1992年8月~96年7月の4年間に収集した病院情報33,834件のうち、骨折事故は10.8% (3,638件)であるが、これを65歳以上の事故3,734 件に限ってみると20.9% (780件)
と約2倍になる。骨折は、高齢者に特徴的なけがといえる。事故は例年同程度起きており、増加または減少するといった傾向はみられない。高齢者の骨折事故780 件の概要は以下のとおり。
階段での骨折が最も多く、以下、道路、床が多い
780件中、階段での骨折が121件(15.5% )、道路での骨折が89件(11.4%)、建物内の床での骨折が75件(9.6%)である。
以下、自転車、風呂場、いすと続き、10位の自動車までで約7割を占める。

 780件中、家庭内で起きたことが分かっている事故は409件(家庭の内か外かが分かっている事故の57.3%)である。

重傷事故は、階段、床、ベッドなどでの骨折が多い
重傷の割合が、高齢者の骨折事故全体における割合を上回るのは、階段の57.0%、床の54.7% 、ベッドの54.5% 、風呂場の53.5% である。

 家庭内で起きた事故も、家庭の外で起きた事故も、重傷の割合はほとんど違いがなかった。

[独立行政法人 国民生活センター online: http://www.kokusen.go.jp/news/data/a_W_NEWS_018.html]